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レッドクレーの洗礼 [テニス]

2009年6月1日

今日はWhit Mondayでデンマークはお休み。キリスト教に関連する祝日は年によって違うから、どうしても覚えられない。ちなみに今週金曜はデンマークはConstitution Dayでまた休みだが、これをもってクリスマスまでは祝日がない。日本はなんとも祝日の多いことか。

そして3回目の6月だから、そろそろ当たり前に思ってもいいのだが、どうしても感心してしまうのがこの時期の日の長さ。23時でまだうっすら明るく、3時で明るくなり始める。一度でいいから本当の白夜を経験してみたいとも思う。下の写真は左が5月31日の23時。右が6月1日の午前3時。できるだけ見た目に近い露出でとってみました。

 2300.jpg 0300.jpg

さて、Roland Garros(テニス全仏オープン)はいよいよ明日から準々決勝。4回戦にして、ナダル、ジョコビッチが消えてしまい、ちょっと物足りない気もしますが、昨今の男子はレベルが高いので、どんな試合でも見ていておもしろい。

今日のハースとフェデラーの試合も見応えがあった。フェデラーってもしかして5セット戦うペースを作るために5セットで平均した力を使っていないか?あるいは3~5セット目でより動きがよくなっている。1、2セットをハースにとられた後の第3セットから動きがよくなり、最近注目の回り込んでのフォアの逆クロスも厳しいコースに決まりだし、ほかのショットもどんどん厳しくなっていった。逆にハースは1、2セットで体力を使い果たしたか、動きにキレがなくなり、ミスも多くなっていく。2セットビハインドでも、みていて「ああ、フェデラーが勝つな」と思えた。そしてその通りに。ナダルがいなくなったし、今年はいよいよフェデラーが全仏をとるのか?楽しみだ。

ところで自分はEuro Sportsで全仏を観ているのだが、ちょっとした楽しみが元テニス選手ビランデルのコーナー"game, set and Mats"だ。ビランデル(Mats Wilander)はEuro Sportsのテニスのメインキャスターのようで、4大大会のたびに彼が登場し、毎日自分のコーナーで、彼独特の視点でその日の試合などについて語ったり、選手や往年の名選手を招いてインタビューをするのだ。そのコーナーの名が"game, set and Mats"。試合終了コールの"game, set and match"をちょっとひねったもの。彼の独特な視点のコメントは本当におもしろくって、たとえば今日デルポトロに負けたソンガの試合のポイントが、コートサーフェスの変化への対応ができなかったソンガにあるようなことを言っていました。何をし始めるかと思ったら、いきなり6番コートから取ってきたというレッドクレーの砂をテーブルの上にまき、水を垂らしたりして実験しながら、湿っているときと、乾燥しているときで、いかにクレーコート上の状態が違うのかを視聴者にわかりやすく教えていて、ソンガは今日の乾燥したレッドクレーに対応できていなかったと。なるほど、確かにソンガはフットワークでのミスや、相手のバウンドへの対処のミスが目立っていた。

そういえば、ビランデルがこんなことも言っていた。「No.2コートのSuzanne LenglenコートはRoland Garrosでもっとも遅いコートなんだ。だから今日モンフィスがアンディ・ロディックに勝つことができた。」と。なるほど、観ている方は、どのコートも同じようなコートサーフェスだと思ってみているけれど、コートによって違うとは。。。恐るべしRoland Garros、恐るべしビランデル。

Matz.jpg 先日マッケンロー(左)を呼んで談笑していたビランデル。マッケンロー喋りすぎだぞ!

前置きがだいぶ長くなってしまった。レッドクレーのことを書こうと思っていたんだが、書きたいのはRoland Garrosのレッドクレーコートのことではなくって、自分のデンマークでの公式戦初シングルスのことだった。

実は約2週間前に、コペンハーゲンのテニスクラブトーナメント(団体戦)に出場させてもらったのです。最近テニスクラブに入会したばかりで、知っている人などほとんどいないのに、Y君の計らいで出場させてもらえることに。しかもシングルス。自分はダブルスもシングルスも両方好きだけれども、どちらかというとシングルスでストイックに戦って勝つのが好きなので、ラッキーでした。

当日テニスクラブに時間に余裕をもっていくと、何人かデンマーク人が。黙っていては何も始まらないので、1人で準備をしている人に英語で話しかけると、同じSテニスクラブの人であることが判明。テニス歴のこととか、色々話をしているうちに、キャプテンのK君らも登場。K君の案内でそこにいた人たちと練習を始めることに。

まあ、後で考えると、ここで気づかなければならなかったのだが、日本で練習といえば、1面4人で練習するし、わざわざ缶をあけて新しいボールで練習することもない。ところが、やはりデンマークで初団体戦の自分は舞い上がっていて、日本のテニス常識で考えることをすっかり忘れていた。

いわれるがままにコートに入り、いわれるがままにある人と2人で新しいボールでラリーをはじめ、ボレー、サーブと一通り練習を終えた自分は、この時点でも、相手の人が同じSテニスクラブの人だと思っており、相手チームがくるまでの練習だと思っていた。しかも相手の人のことを、「おお、この人は結構うまいな。Sテニスクラブにはこういううまい人もいるのか」などと関心していたりしていたのだ。

ところが、いきなり相手の人が、トス(サービスをどちらが先に行うかを決めるもの)をしようとするではないか。自分は何のことかわからず、「ちょっと待って」と彼をまたせ、クラブハウスの横にいるK君のところまで行って、「あれが僕の相手?」と自分以外の人には「こいつ大丈夫か?」と思われそうな質問をして、それが自分のシングルスの相手だと確認したのだった。練習前に皆が話していたデンマーク語さえ理解できればこんなことにはならなかったのだが、これがその国の言葉を話せない外国人のつらいところ。文句も言えない。

ということで、試合前の練習と思わずにただ漠然と練習をしていた自分は、体の準備も心の準備もできないまま試合突入。このあとさらなる悲劇が待っているともしらず。。。

試合開始すると、相手の人がいわゆる「シングラー」(かなり強引な和製英語)であることが数ポイントで判明。シングラーとは、アンフォースドエラー(簡単にいうと凡ミス)をせず、フットワークがよくどんなボールでも拾い、精神も強くてどんな状況にも動揺しないような、シングルスに強いテニス選手のこと。「あ、まずい」とすぐに思った。しかもここはレッドクレー。そして先日の雨の影響で異常に球足も遅くなっている。

実は20年もテニスをやっていると、試合開始数ポイントで、その後の試合の流れが予想できてしまうもの。タフな試合になるのか、楽勝だから自分が馬鹿なことをしなければ勝てるのか、ふつうにやっては勝てないので何か作戦を練らなければならないのか、など。この相手は「ラリーの長いタフな試合になり、かつ厳しいコースにエラー少なく打ち込んでネットでのポイントを多くしないと、勝てない」だった。まさか、デンマーク初シングルスでいきなりタフな相手と当たってしまうとは、なんという不運。でもこれが人生。

ただこれは悲劇ではなく、どちらかというと、幸運なはずだった。やはり真剣にテニスをしようと決めた以上、タフな試合を勝っていって、強くなりたいから。

ところが、本当の悲劇は待っていた。試合開始1ゲーム目で、先日のダブルスの試合で痛めた左足ふくらはぎに「ピーン」と痛みが。このときは攣ったのだと思っていたが、後々考えれば、筋が軽く切れてしまったのではないかと思う。

問題はここから。個人戦であれば、どこかで棄権していたと思うのだが、これは団体戦。しかも見ず知らずの人ばかりで、皆デンマーク人。「棄権したい」と言い出すことができなかった。それに、そんな簡単に負けたくなかった。負けても最後までやり通すしかないと思った。

ここからがつらかった。相手がミスってくれるようなプレーヤならば、作戦のたてようもあったのだが、先に言ったようにシングラー。しかも彼はつないでくるプレーヤーではなく、あまい球はすべて打ち込んで前に出てくるタイプ。よってこちらも全球厳しい所に打ち込む必要がある。ところが足の踏ん張りがきかない、遠い球に十分においつけない、ラリーが5往復もすると足の痛みが絶頂に達する。傍目にはもしかしたらいいラリーをしているように見えたかもしれないが、ほとんどのポイントを相手が主導権を握っていた。そしてこちらのミスも多い。1セット目は1-6で落としてしまった。

ここでやっぱり棄権しようかと思ったが、やっぱり棄権したくなかった。というか勝つことだけを考えて、どうすれば勝てるのか、ということばかり考えていた。相手に特に弱点はないし、弱点をつくような余裕もこちらには無いので、とにかくラリー回数を少なくするよう、オープンコートに厳しい球を打ち込んで、自分のウィナーで決める展開に持っていった。足が痛いから、きつい選択だったが、勝つとしたらそれしかなかった。0-1、0-2、1-2、1-3、2-3、2-4、2-5、3-5、、、エースをねらいにいくので、どうしてもミスが多くなるし、相手もエース級と思った球でも拾ってくる。これがハードコートだったらエースになるのに。。。ここはレッドクレー。もっとも遅いサーフェスだ。 粘りに粘ったが3-6で取られた。

負けた。1時間半。足を痛めてから1時間半走り続けたことになる。最終ゲームでは完全に足がイッてしまった、という感じ。レッドクレーにやられたわけではなく、足の故障にやられてしまったわけだが、負けてうつむく自分の目に入ってきた赤いクレーコートの色が忘れられない。なんで、デンマーク最初の試合でこんなことになるのか、と正直神様を恨みたかった。本当に悔しかった。

ゲームのあとは、もうまったく歩けない状態。翌日はもっとひどく、1m歩くのも大変な状況に。どうやら攣ったり、肉離れをしたのではなく、筋がかなり損傷をうけたり、切れたりしてしまったようだった。先日のダブルスの試合に準備運動無しで臨まなければならなかったことが、今になって悔やまれる。

ひょんなことから、伊達公子選手がRoland Garros予選で途中棄権したというニュースを見た。彼女も試合最初にふくらはぎに違和感があり棄権したのだそうだ。その後彼女のblogをチェックしていると、今年ずっとふくらはぎの怪我をひきづっているようだった。自分も歳だし、そのようなことにならないといいのだが。。。彼女が最近日本で宣伝しているというバンテリンを塗りながら、そう思った。

あれから2週間。ジムに行っても下半身はほとんど使わず、上半身だけを鍛えてきた。今日久々にランニングをしたが違和感はなかった。明日久々のテニス。痛まないことを祈る。。。

そして、明日はラケットのガットが新しくなる。テニスをしている人に知られたら絶対に怒られると思うが、自分のガットはもう4年も張りっぱなし。真面目にテニスをしている人なら、3ヶ月で交換するだろう。それが4年だ。先日の試合でも、「レッドクレーはバウンド後に球の勢いがなくなるなあ」と思ったりしていたのだが、レッドクレーのせいだけではなく、どう考えてもガットの反発力が悪いことを感じていた。デンマークにきてずっとお遊びテニスしかやっていなかったので気にしなかったが、最近まじめな試合に出始めて、改めてこのガットでは駄目だと認識。といってもガットをどこで張っていいかわからない(っていうか、張るところがほとんどない)ので、Myガット張り機を持っているY君に張ってもらうことに(本当にY君には頼りっぱなし。。。)。明日そのラケットで打てるので今から楽しみ。

そして今のラケットは5年目のはず。いくらテニスの回数が少ないといっても、ガットを張ってあれば、ラケットの機械特性は劣化していく。そろそろ換え時だと思っている。7月に日本に行く機会があるので、そこで購入しようと思っている。全仏オープンをみていて、買うラケットは絞りこんだ。あとは実物を見て決めたいと思う。あのメーカーのラケットを使うのは大学3年生の時以来。楽しみだ。

現在のところ、デンマーク公式戦での勝敗は1勝2敗。帰任時の勝率は少なくとも5割といきたい。あのレッドクレーには負けない。


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コメント 3

かときち

す、すごい激闘したんですね。。。。
一度試合がはじまってしまったら完全に没頭するその集中力がすばらしいと思います.
かとうもこちらにきてから結構練習しているので、どこかで試合に出たいなぁと思うもののなかなか機会がありませんわ。

Roland Garros観に行ってきました。フェデラー対マチュー戦めちゃめちゃよかったです。あんなに興奮したのはいつぶりだろうってくらい。
ウィンブルドンも観に行こうと思ってます.
by かときち (2009-06-05 06:50) 

boribori

足、大丈夫でしょうか。。。
by boribori (2009-06-08 17:44) 

UD

かときちさん
そういえば、一緒にテニスしてないですね。是非是非。草トーは誘ったらきますか、デンマークまで?

Boriboriさん
すでにほぼ復調してます。ご心配おかけしてすみません。
by UD (2009-06-09 07:46) 

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