SSブログ

行くべき? [考えごと]

2009年5月3日

数週間続いた晴天もいよいよ終了なのか、どんより曇っている。来週の天気予報は雨続き。たまには水分補給も必要だが、1週間後にはまた青空に戻ることを祈っている。

さて、約10日前のこと。I氏、O氏とコペンハーゲン市内のBrew Pubという最近よくいくビールパブ&レストランで夕食をとったのだが、早々に2日後の夕食を外食しよういう話で盛り上がった。なぜ盛り上がったかというと、I氏が行きたいと一番に挙げた店に有名な寿司屋が入っていたから。しかも有名といってもネガティヴな意味で有名なのだ。実はI氏もO氏も自分も一度も訪問したことが無いのだが、周りの人の噂を聞くととても行く気が起きないような店なのだ。大多数の噂は「接客がひどすぎる」というもの。食べずに出てきた人もいるらしい。そこまで聞いてしまうと、お金を使ってまで行く気がしないのが人の心。

ところが、I氏と自分には変な自信があった。I氏とそこまで密なコミュニケーションをとった訳ではないが、おそらく自分と同じ気持ちを抱いていたんだと思う。

「自分達は絶対に大丈夫」。

I氏も自分も、仕事柄なのか、相手の出方次第で事をうまく進める方法を知っている。特に相手が日本人(この店は日本人経営)なら、もうこっちのもの。どう相手が出てこようと、最後に自分達がちょっと優位になればいいのだ。

4月24日の金曜に予定通りI氏と2人で行くことになった。行けないことになったO氏が「外食ばかりして、奥さんは一人で大丈夫なんですか?」と心配してくれたが、その奥様の方はその寿司屋に行くのであれば、是非行ってきてほしい、と企画にノリノリ。

当日自転車で店へ向かっていると、I氏から少し遅れるとSMSが。その時にはあと2、3分の距離まで来てしまっていたので、店の前のオープンカフェでビールを飲みながら待つことに。ほかの店なら入って待っているところだが、「接客が悪い」と聞いているのに、入店してしまってはI氏と一緒に楽しめないと思った次第。

cafe.jpg後で店内からとったオープンカフェの様子

オープンカフェの席からは店が丸みえなので、客の入りなんかをなぜかチェック。そうすると、デンマーク人の2-3人のグループが結構入っていく。そして出て行くデンマーク人客も結構いる。出て行く客が怒っているという風には見えず、皆普通だ。こうしてみている限りは、コペンハーゲンにたくさんある寿司屋のone of themにしか見えない。もちろん日本人やアジア人と違って、怒っている顔のデンマーク人を見ることなんて滅多にないから、店を出る客の顔で何かが判断できるなんて思わないほうがいいのかもしれない。でも、

「もしかして、単純にふつうの店なんじゃないの?」

そんな予感が頭をよぎった。

少し遅れてI氏が自転車で登場。早速2人で店へ入った。

入り口をくぐると目の前がカウンター。カウンターといっても寿司屋のカウンターではなく、テイクアウト寿司屋風の会計カウンターで、奥がキッチンになっている。左に上へ上る階段があり、上に客席があるようだ。I氏がさっそく階段を上がろうとすると、カウンターにいた女性店員さんから

「○×△*&%#?▽◇□!」

と英語で注意される。たぶん英語だったと思うが、日本語だったかもデンマークだったかもしれない。いずれにせよ、まだ上るな、という意味と理解した。

小声で、「なるほど、これか」とI氏に小声で話した。期待に胸が高鳴った。

みていると、どうやらカウンターで食べるものをすべて注文し、お通しのようなものだけ自分で上へ運び、後の品は店の人が上まで毎回持ってきてくれる、というシステムらしい。人によっては食べた後にお皿をセルフサービスで下げてくる客もいるようだった。

前の人たちが注文を終え、自分たちの番になった。最初が重要なので、

「こんにちは!」

と、普通より大きい声でキッチンに通るように挨拶した。何事も最初が肝心。最初に決まった対人優位関係は一定期間続くからだ。これで後はこちらのペース。

I氏と2人でさきほど注意をした女性店員さんと話しながら注文を決めた。キッチンのご主人も少し会話に加わってくれ、「それは多すぎるから2人前にして出しますよ」とか「最近チキンカレーがデンマークの人には人気で」などと親切にしてくれた。予想通りでもあり予想に反して、非常にスムーズに注文終了。

上へ上がって窓際の席に座る。小皿とか箸とかは中央のテーブルから自分で持っていくようになっている。しばらくするとビールと松前漬けをもって違う女性店員さんがやってきた。「どこの方ですか?」などと会話が始まり、ポンポンと会話をした。

「ふつうの店だね」

I氏と2人で話した最初の評価だった。

その後、(確か)今度はマスターがやってきて「はいこれサービス」といって、薩摩揚げっぽい魚肉の揚げ物をサービスしてくれた。寿司は至ってふつうの寿司。コペンハーゲンでは標準レベルの寿司だった。

「っていうか、この店いい店じゃん。どういうこと?」

15分後にI氏と話した会話だった。

「先に悪い評判ばかり聞いていたから、コントラストでよく思えるのかもしれないけど。。。でもたぶんいい店だね。決しておいしいとはいえないけど、ふつうの味で、安いし。」

fish.jpgサービスしてもらいました

maguro.jpgスパイシーTunaとMaguro

寿司でお腹がいっぱいになたっところへ、I氏がどうしても食べたいといって頼んだチキンカレーがやってきた。コペンで日本風のカレーを食べるには、自宅で作るか一部の日本料理屋で食べるしかない。自分は自宅のカレーがもっとも大好きだが、このチキンカレーはうまかった。そして70DKKと安い。日本だったら1200円のカレーなんて高いかもしれないが、コペンハーゲンでは、このくらいの量のカレーでも2500円くらいはする。よってふつうの半額ということ。

curry.jpgチキンカレー

I氏との結論

「ここはいい店だ。是非よい店だと触れ回ろう。」

その後の周りの人の反応

「悪い評ばかりだったから改心したに違いない」
「たまたま機嫌がよかったに違いない」
「日本人男性のみが相手だと待遇が違うんだ」

などなど。

いずれにせよ、他人の評価のみで「行くべきか、行かないべきか」を判断するのは、可能性を狭めてしまうというリスクがあるということだ。

もちろん海外旅行など限られた日数の場合には、ガイドなどの他者の評価を基準に決めるしかなく、自分達にできることは、自分達の好みにあったガイドブックを探すことと、ガイドの行間を読むことくらい。

ただ住んでいる街やであれば、自分の足と舌と目と耳で判断すべき、という教訓であろう。もちろんハレの日に利用するような高いレストランに頻繁に行くことはできないので、少しはガイドのお世話になる。でもそれでも是非とも自分で訪問してからレストランの善し悪しは決めたいものだ。

さて、気分をよくした我々は「日本酒が飲みたい!」と有名な日本料理屋Uへ。日本酒がたくさん置いてあるはずと行ったのだが、1本しか冷蔵庫にないと店員。じゃあカウンター越しにおいてある有名どころの瓶は飾りか?1杯だけあけて、その後はビリヤード台のあるバーへ。気分よく8ボールなどをやっていると、バーがどんどん混んできて、ビリヤード台の周りまで人が押し寄せてきて、最後はキューをつけないサイドができてしまう始末。9ゲームで終了した。その後I氏は帰り、自分はS氏とちょっと合流してバーでビールを一杯。ここも激混み。コペンハーゲン人は金曜夜は遊びたくて仕方ないのだろうが、いくところが限られているので、開店している店はキャパオーバーしてしまう。東京だったら24時過ぎでもゆったり飲める店がたくさんあるのになあ、とちょっと東京が懐かしくなった。

その、その寿司屋、(店名はあかさないが)、行くべき?

男同士で行くのにはおすすめです。


nice!(0)  コメント(4) 

nice! 0

コメント 4

dogwood

意外な展開で、結構残念です・・・話を聞いて、ちょっと拍子抜け。
っていうか、きっとメンズで行ったからだと思います。レディースで行ったらこんな良い待遇ではなかったような気がします。
今度レディースで行ってこようかしら・・・?
by dogwood (2009-05-04 01:16) 

SHO

自分は行きたくありませんが 楽しまれたようで何よりです!笑

Dogwoodさん 是非是非レディースで行かれて下さい!!

でも確かに最初が肝心ですよね。。
今週は 週末までに雨が止むことを願っています・・・
by SHO (2009-05-04 03:53) 

UD

Dogwoodさん、そう言わずに今度僕といってください。
SHOさん、楽しいのが何より。もし自分が一人暮らしだったら、あそこにカレー食べにいくと思う。寿司屋でカレーっていうのが、ちょっと変だけどね。
by UD (2009-05-04 04:19) 

Holmen

例えが難しいですが、南アフリカには行くかもしれないけど、ジンバブエには絶対に行かないという感じですかね。ジンバブエにもきれいな景色(とかそんなもの)があるかもしれませんが、「行くことのリスク」を考えると行かないかな、と。
あ、ぜひフランソワ・シモンの、「レストランで最高のもてなしを受けるための50のレッスン」を読んでみて下さい。邦題が元と違いすぎてアレですが。
by Holmen (2009-05-19 05:47) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。